食品通販リピート客を増やす施策10選
食品通販リピート客を増やす施策10選
「新規獲得は順調なのに売り上げが思ったほど伸びない」「新規客がリピート購入するのに時間がかかる」
食品通販会社の経営者、事業責任者とお会いすると多くの方から聞かれる言葉です。効率よく新規客を獲得することができていても、リピート購入がないと売り上げは上がっていきません。
せっかく増えた顧客リストも休眠客ばかりになったら宝の持ち腐れです。リピート客育成を課題に感じている会社は早急にリピート客育成の強化を図ることが大切です。
このコラムでは食品通販ビジネスにおけるリピート客を増やすための10施策とリピートの考え方を紹介します。
1.定期コース・頒布会を提案する
食品通販の一番の課題は、1年間におけるリピート回数の少なさです。特にお中元、お歳暮といったギフト需要で売り上げを作っている会社では顧客回転数(1人当たりの年間平均購入回数)は2回を切ってしまいます。
そこで食品通販においても定期コース、頒布会を設計し、提案することが大切です。定期コースは毎月同じ商品が届くもの、頒布会は毎月違った商品が届くものです。
総合通販会社株式会社ベルーナ(埼玉県)はワイン、日本酒、焼酎、惣菜といった商材で毎月お届けコースを設定し、リピート売上を作っている。
リピート性のある商材を持っている会社であれば定期コース、頒布会の提案はぜひ行いたい施策です。
2.DM・メールを送る
DMはお客様に最もリーチできるが、費用がかかる。メールは費用が安価だが、開封されにくいとそれぞれにメリット、デメリットがあります。それぞれの良さを生かすために、DM、メール両方の活用が必要です。WEBからの注文のお客様にはメールしか送らない会社が多いですが、メールの開封率が下がり続ける昨今、DMでの商品案内も併せて行うことをお勧めいたします。
食品通販ではDMは最低でも年3~4回送付します。お中元、お歳暮の時期、それ以外の時期にキャンペーン案内で1~2回送ります。多い会社では毎月キャンペーンDMを送り、かつお誕生日月にDMを送っている会社もあります。
DMは費用がかかるので、毎回、必ず費用対効果を検証し、なるべく反応の高い属性の客層を絞り込んで送ることが大切です。
メールは費用がDMほど掛からない分、送付回数を増やして案内することをお勧めします。ある食品通販会社は毎日メルマガを送っていますが、2ヶ月先までスケジュールを立てて配信しています。送付回数と売り上げは比例しますので、品揃えの多い会社はメールの活用により売り上げを積み上げることが可能です。
3.初回同梱物を充実させる
2回目購入を促す際に重要度が高いのが初回購入者に商品と一緒に送る同梱物です。挨拶状、商品パンフレット、サービス案内、お客様の声ツール、申込書、商品カタログといったものが最低限必要となります。その中でも初回購入者には商品についての情報を伝えることが重要なので、挨拶状、商品パンフレット、お客様の声ツール、商品カタログといったツールは特に重要性が高いです。
挨拶状は購入してくれたお客様に感謝の気持ちを伝えると共にお客様と商品を大切にしているという姿勢を表現することができます。商品パンフレット、お客様の声ツールは商品自体の良さを伝えるためのツールで、2回目以降のリピートを左右する非常に重要なツールです。
商品カタログは広告に出してない商品の一覧で、品揃えを知ってもらうという点でも最初に入れるのが望ましいツールです。特に食品や雑貨のようなリピート性の低い商材の場合は、いろいろな商品を購入してもらう必要がありますので必須のツールです。
同梱しているツール類は初回購入時が一番読まれる確率が高いので、重要な情報を最初に伝えることが肝心で、情報を小出しにせず、悔いが残らないようにしてください。
4.消費を促す情報を発信する
リピート購入をしてもらうための出発点はお客様に推奨している量を消費してもらうことです。食品通販では美味しい食べ方を載せたレシピ集を商品と一緒に同梱していきます。
ある低糖質食品を販売している会社でお客様にアンケートをしたところ、一番要望が多かったのは美味しい食べ方を紹介するレシピ集でした。もともとレシピ集は初回購入のお客様に同梱していたのですが、この会社ではアンケート後、より多くのレシピ集の作成とお客様への配布に力を入れました。
レシピ集についてはツールを同梱するだけでなく、ホームページやメールも活用しながら継続して伝えるようにしてください。
5.会社への信頼感を醸成する
お客様は商品を使用するにあたって様々な疑問や不安を感じます。情報発信がしっかりしている会社はお客様が感じている点を先回りしてツールやホームページを通じて発信しています。
経営者の考え、会社のポリシー、会社の写真、製造工場の写真、働いている社員の写真、会社が所在する場所の紹介といった情報を伝えることで、お客様に安心と信頼を与えることができます。
ある酒造メーカーでは手書きのニュースレターを使って、会社の歴史、会社のある地域の紹介、お米、水、へのこだわり、酒つくりへの想い、製造スタッフの紹介、酒蔵見学の案内、人気商品の紹介を行っています。手書きであることが目を引く上に、親しみを感じさせており、多くのお客様に読まれています。
6.キャンペーンを実施する
キャンペーンの告知はDMやメールを活用して、様々なタイミングで行います。一般的によく使われるのは春夏秋冬の季節ごとのキャンペーン、創業祭、年末感謝祭や周年記念といったタイミングです。
キャンペーンは独自性を出しやすいので、各社様々なアイデアを形にしています。
ある食品通販の会社では普段送るメルマガの中で、数量限定早い者勝ちセール、在庫一掃セール、訳あり激安セール、ポイント消化商品の案内といった切り口でお客様に案内をしています。
また、ある食品通販の会社では、毎月、送料無料対象の商品を案内しており多くのお客様に支持されています。「送料無料」というオファーは強いので、それを上手に活用しています。
ユニークなものとしては、自社で記念日を制定し、その記念日をきっかけにDMを送るという手法があります。これは他社と販促時期が重ならないようにすることと独自性を出すのが目的となっています。
7.継続するとお得なサービスを用意する
お客様が特定のお店や会社から商品を買えば買うほどお得があるというのがリピート施策の基本となります。その観点から会員制度やポイント制度を活用することは大切な取り組みです。特に、定期コースや頒布会の設計をしづらい商品を販売している会社では必須の取り組みと言えます。
会員になると送料負担が減る、購入回数や金額によってポイントが貯まる、割引率が上がるというような特典を用意します。購入回数が増えるにつれて、他店で購入するよりもお得になっていくので、結果として継続するお客様が増えることになります。
会員制度の1つとしてランクアップ制度を設計している会社もあります。購入金額に応じてランクが上がり、特典が用意されたり、割引率が上がったりします。航空業界のマイレージがイメージしやすいでしょう。
ポイント制度についてはお金で還元する方法と景品、商品やオリジナルの非売品と交換する方法があります。商品数の多い会社ではお客様の購入金額も増えやすいのでお金での還元は有効ですが、商品数が少ない会社ではポイントもなかなか貯まらずお金での還元にお客様があまり魅力を感じない場合があるので、その場合は商品や非売品等との交換の方が有効です。
また、点数シールを活用している会社もあります。商品送付時にシールを同梱し、貯まったシールの枚数に応じてプレゼントがもらえる仕組みです。大手製パンメーカーがシールを貯めるとお皿と交換できるというサービスを長年行っていますが、直でシールが貯まっていくことが実感できるのがお客様に好評の要因です。
8.クロスセルを提案する
クロスセルとは初回購入とは違う他商品を購入してもらうことで客単価アップを目的に行います。多くの商品を用意して「どれか買ってください」ではなく、会社として優先的に購入してもらいたい商品を選んで提案することが大切です。
クロスセルの告知手段としては、商品発送時に同梱するチラシ、DMやメールを主に活用します。この際のポイントは商品を紹介する際には広告で新規客に訴求するようなクリエイティブにすることです。お客様は会社への信頼があるにしても、それだけでは購入理由にはなりません。お客様は必要性を感じないと商品を購入しないので、商品の魅力を余すことなく伝えることが重要です。
お客様にクロスセルを促すタイミングですが、初回購入時から案内して構いません。購入回数が多く、お客様の中で会社への信頼も醸成されている状態での案内が理想ですが、多くのお客様に購入していただくという観点からは臆せず初回から案内していくことをお勧めします。
ある食品通販の会社はコールセンターでの初回受注時から他商品の案内をしています。季節ごとに案内する商品を変え、オペレーターに案内を周知し、実施しており、約30%のクロスセル率を実現しています。初回購入時に複数の商品を購入してくださるお客様はその後のリピート率も高い傾向にあります。
また、ある食品通販の会社では自社サイトのトップで主力商品の関連商品を提案しています。この会社は認知度も高く、自社サイトを訪れるお客様はすでに主力商品を認知していますので、いきなり関連商品の提案をしても特に違和感はないのです。
キャンペーンやクーポン券もクロスセルのきっかけになります。せっかく安くなるならこの機会に他の商品も試してみようというお客様の心理が背景にあります。また、食品通販は単価とリピート性が低いので、魅力的な商品を揃え、○円以上購入なら送料無料、〇円以上購入で○○をプレゼントといった設定でクロスセルを促します。この際も、ただ商品の画像と価格を表示するだけでなく、会社として売りたい商品には商品特徴の説明や生産者の紹介などの情報を合わせて発信していくことが大切です。
クロスセルの案内は継続して案内を行っていくことが大切です。1~2回商品の案内をしてやめてしまう会社がありますが、お客様はどのタイミングで反応するのか会社側はわかりませんので継続して案内することが大切です。
クロスセルについては上手にできている会社は少なく課題に感じている会社が多くあります。案内をする商品、タイミング、見せ方、オファー等あらゆる要素を検討して自社なりの手法を確立してください。
9.愛用者の声を数多く伝える
ツールの中でお客様に最も関心を持たれるのがお客様の声を集めたものです。お客様は商品を販売している会社よりも実際に使っているお客様の声の方にどうしても関心を持ちがちです。皆様も楽天やヤフーショッピングのようなモールで商品を選ぶ際や食べログのような飲食店サイトでお店を選ぶ際にレビューや点数を確認している方が多くいるはずです。
お客様の声の紹介については、届いたハガキや写真を紹介するという形式や実際にお客様のご自宅を訪問してインタビューしたものを紹介するという形式があります。その際にもただ紹介するだけでなく、社員からのメッセージも添えるとよりツールへの信頼度が増します。
お客様の声ツールは、お客様の関心も高いので、ぜひ継続してツールを作成するようにしてください。そして、その声を集めるためにも必ず返信用のハガキを商品発送時に同梱してください。通販においてはお客様の声を集めることにコストを惜しんではいけません。
10.休眠客にアプローチする
休眠客向けの販促は、主力商品の再購入、定期コースの再開促進、キャンペーン等の販促による売上を作るかかのいずれかが目的となります。
最終購入日が直近でかつ累計購入回数が多い休眠客ほど再開の確率が高いので、例えば最終購入が1年以内で累計10回以上購入の休眠客のような条件でリストを抽出しアプローチしてみると良いでしょう。この属性での反応率を確認することで最終購入から1年以上でかつ10回未満の休眠客の反応率を推測することができます。
キャンペーンによる売上を作る場合は最終購入日の重要性が高まります。購入回数が1回の休眠客でも最終購入日が近ければ反応する確率は高いので、送付対象に入れる必要があります。
また、累計購入金額の多い休眠客には手書きのお葉書の送付が有効です。ある食品通販の会社ではギフトカタログを送る1週間前にスタッフが手書きのお葉書を送付していました。過去の累計購入金額が多い休眠のお客様を約400人抽出して送付したところ約15%のお客様が再購入しました。
新規獲得の効率が悪くなる中、休眠客の再購入は非常に重要ですので、継続して取り組む施策として取り組んでください。
リピートの考え方
リピートについてみるべき数字
① リピート率
リピート率とは新規客のうち2回以上購入したお客様の割合のことを意味します。仮に新規客100人のうち、30人のお客様が2回以上購入していれば、継続率は30%になります。
リピート率=2回以上購入客÷新規客×100
② 継続率
リピートしているお客様がその後、どのように継続しているのかを測定するのが、継続率です。
例えば、定期コースの場合は継続しての購入が大切なので、ある月に入った新規客を母数として、3回、6回、12回のように回数ごとに継続率を算出していきます。
3回継続率=3回以上購入客÷新規客×100
6回継続率=6回以上購入客÷新規客×100
12回継続率=12回以上購入客÷新規客×100
例えば、2022年1月に定期コースに1000人のお客様が入ったとして、3回継続しているお客様が700人いた場合、3回継続率は700人÷1000×100=70%となります。
この継続率の数字を時系列で毎月確認していくことで、自社の商品・サービス・接客・リピート施策がお客様に満足されているかを確認する1つの指標になります。
継続率は商品特性、販売単価によって変わってきますので、一概に〇%ならOKという判断はできません。あくまでも自社の過去の数字と比較して改善されているかどうかを評価するようにしてください。
③ 客単価
客単価は1人のお客様が1回当たり何円商品を購入したかを示す指標です。客単価は主力品以外の商品をあわせて購入してもらう「クロスセル」、お客様が購入を検討している商品のより上位版の商品を購入してもらう「アップセル」を行うことで増加します。企業としては商品の提案力、魅力を伝える表現力が求められます。
④ 顧客回転数
顧客回転数は1人のお客様が1年間で平均して何回商品を購入していたのかを示す指標です。お客様の商品への信頼、丁寧な対応や接客によるお客様の満足度、定期コース・頒布会・ポイント制度・ランク制度といった仕組みなどが相まって顧客回転数は増えていきます。
⑤ LTV
LTVは1人のお客様が1年間で何円商品を購入したかを示す指標です。客単価と顧客回転数が上がっていくと、LTVも上がっていきます。企業としては、商品力、提案力、対応力といった様々な要素が関係しますので、総合力が表されることになります。新規顧客獲得コスト(CPO)が上昇する中、LTVの最大化は通販ビジネスにおいては最重要課題になってきています。
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