一般消費者向けのBtoC通販ではなく、法人向けのBtoB通販の市場は堅調に成長を続けています。経済産業省が2021年7月に発表した2020年度の市場調査では、BtoB通販の市場規模は372.7兆円であり、前年の334.9兆年から拡大しています。また、BtoC通販の市場規模は20.7兆円で約18倍の規模と推定されています。
参考URL https://www.meti.go.jp/press/2022/08/20220812005/20220812005.html
BtoB通販に取り組んでいる会社の有名どころとしては、「アスクル」「Amazon business」「たのめーる」「モノタロウ」などがあります。品揃え豊富なECサイトを開設し、法人向けに商品の販売を行っています。
BtoB通販では売り手の企業に以下の5つのメリットがあります。
1.商圏が全国2.リピート率が高い3.客単価が高い4.BtoC通販より少ない客数で売上が大きくなる5.価格を明示しているので、価格交渉がない
訪問主体の営業スタイルで全国に販売しようとすると、各主要都市に営業所を構え、営業活動する必要があります。BtoB通販では拠点は本社に置きながら全国の法人を対象に販売を行うことができます。
買い手が法人の場合、一般消費者と違って衝動買いは少ないのが特長です。初回に購入する段階で商品、会社について慎重に比較・検討するので、結果として、リピート購入の割合も高くなります。また、BtoB通販は対象が法人なので、一般消費者向けと比べて単価が高い商品を販売していることが多いため、客単価も高く、少ない客数で売上が大きくなります。
商品価格については、ECサイトやカタログで事前に明示することになるので、特別な事情がない限り、価格交渉で値下げを要求されることもありません。
BtoB通販では買い手の企業に以下の5つのニーズがあります。
1.便利さ(注文しやすい・納品が早い)2.安さ3.小ロット4.事前に価格比較が容易5.見積もり入手が不要
詳細な説明を聞き、独自のカスタマイズも必要な商品は別ですが、説明不要で買い手が判断基準も持っているような商品であれば、BtoB通販の買い手のニーズは何と言っても1~3の「便利さ(注文しやすい・納品が早い)」「安さ」「小ロット」です。届いた商品に不満がなければ定期的にリピート注文が入ることになるでしょう。
事前に価格比較が容易、見積もり入手が不要という点もある意味、便利さの1つになります。会社の決裁をもらうのに数社から見積もりを取り、検討という時に見積もりがなかなか出てこない会社があると決裁をもらう準備に日数を要することになります。BtoB通販ではECサイト、カタログに価格が載っているので比較も容易で、そもそも見積もりを入手する必要もありません。スピーディーに仕入れの準備ができることは買い手にとってもメリットになります。
BtoB通販で成功するためには以下の6つのポイントがあります。
1.ある業界に特化し、その業界について精通している2.全国に買い手がいる商品を扱っている3.豊富な品揃えを用意できる開発力、仕入れ力がある4.買い手の求める利便性、価格の安さを実現できる5.業界の商習慣を理解した販売体制・ECサイトを構築できる6.わかりやすい紙のカタログを用意できる
BtoB通販では歯科医向け、美容室向け、エステ向け、整骨院向け、飲食店向けと業界に特化して展開している会社が多くあります。業界に特化することで、商品だけでなく、販促物や教材といったものも販売することができます。また、前述した業界はどれも日本全国にある業種なので、販売対象が広いのも魅力です。
また、業界に特化することで買い手のニーズを知っているのも強みです。ある飲食店向けに冷凍食品の販売を行っている通販会社では、年中無休で当日14時までの注文は当日発送できる体制を整えています。飲食店としては冷蔵庫・冷凍庫を開けた際に在庫が少ない商材を見つけたら1日も早く届けてほしいのが本音です。お盆・年末年始・ゴールデンウィークといった取引先が休みの時にもすぐに発注できるのは非常に有難いことです。こういった発注者の心情を理解した体制を整えることでリピート注文につなげることができます。
BtoB通販のメリットの1つは全国が商圏にできること。よって、一部の地域でしかニーズがないものではなく、全国に販売先があることが大切です。
BtoB通販では品揃えの多さが重要です。買い手にとっては商品の仕入れは1企業で完結するのが便利で効率的です。業界に特化した上で、どこまで商品を揃えることができるのか、商品開発力と仕入れ力を持っていることが重要です。ただ、単に品揃えが多いだけでは他社に対して優位性が発揮できないので、商品の品質と価格の安さが求められます。特に価格の安さは非常にわかりやすい訴求ポイントです。自社で製造しているので原価が安い、提携している工場からの仕入れ価格が安いなど価格の安さを実現できる背景が必要となってきます。
業界によっては、古い業界で未だにFAXで受発注をしている会社が多いという場合があります。この場合には、ECサイトを用意するだけでなく、電話・FAXでの受注体制も整備しておく必要があります。
ECサイトで注文であっても紙のカタログは必要となります。商品を探す際にECサイト上で探していくよりも紙のカタログをめくっていく方がわかりやすく効率的です。カタログの制作と送付にコストはかかりますが、リピート売上につながる重要なツールです。
BtoB通販の新規獲得においては、電話、ダイレクトメール、リスティング広告、アフィリエイト広告、SNS広告を活用します。どの手法が自社にとって効率が良いかは一通り試していきながら判断していきます。食品のように味の確認が必要な業種の場合には、初回に無料のサンプルや安価な売価設計のお試し品を用意しておくことが有効です。味と価格が認められれば安定したリピート売上に繋がりますので、コストをかけてでも買い手の不安解消に努めましょう。
BtoC通販と同様に何もフォローをしないとお客様は離反してしまいます。そのために、定期的にメルマガとカタログを送付することが大切になります。新商品の紹介やお得なキャンペーンなどはメルマガを送ることで時期に合わせた告知をします。一方で、定番の商品については定期的にカタログをお客様に送付することでリピート購入を促します。大切なことは「忘れられないこと」で買い手が商品を購入しようと思った時に思い出してもらえる存在であることが大切です。そのためにもメルマガとカタログで継続して接触していくことが重要なのです。
また、お客様アンケートや電話による満足度の確認も大切です。対面ビジネスと違ってお客様の顔が見えないので、ちょっとした不満や要望を感じ取ることができません。
BtoB通販とBtoC通販ではホスピタリティーにも違いがあります。BtoC通販ではお客様1人1人に手書きのお礼状を書くといった親身な対応や過去の購入履歴や会話記録に基づく提案によるお客様が「私のことを理解してくれている」と感じる対応が付加価値になり、会社へのファン化につながっていきます。
一方で、BtoB通販において求められるのは、価格、利便性、納品の早さといったところが付加価値になります。商品が安く、短時間で注文でき、すぐに届くというところが付加価値になります。
ここまで見てきたようにBtoB通販とBtoC通販は同じ通販ビジネスでも違いが多くあることがわかります。ただ、一方で、顧客分析の考え方やLTVの概念、顧客フォローの設計などBtoC通販の知見を活かせる要素も数多くあります。自社に活かせる情報を理解しながら、自社にあった独自の施策を構築していってください。
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