社内のコミュニケーションを大切にする
通販では広告や顧客対応といった外部への取り組みが注目されますが、成功している会社を見ていると、それを支える社内のコミュニケーションを大切にしています。例えば、コールセンターのオペレーターとお客様とのコミュニケーションは非常に重要なテーマですが、それを支えるためには徹底した社内コミュニケーションが必要となります。
社員数が少ないうちは、他の社員が行っていること、会社に来たクレームや現状の課題などすぐに情報共有ができます。結果として、会社としての意思決定もすばやくでき、すぐに施策も実行に移せます。
しかし、社員が増え、組織が大きくなるとだんだん他部署の社員が何をしているのかといったことが、伝わりにくくなってきます。似たような仕事を2つの部署で行っていたり、過去に失敗したテストを新たに実施してしまったりと無駄な仕事も発生してしまいます。そういったことを避けるためにも社内のコミュニケーションの強化は非常に大切になります。
企画部署は過去の経験と仮説から、新商品の開発やDMの製作&発送を行いますが、その狙いや目的をオペレーターが認識していないと、お客様からの問い合わせへの回答にギャップが生じることになります。一方で、お客様との接点であるオペレーターからお客様の声や質問などが企画部署に正確に伝わらないと、お客様不在の販売を続けてしまうことになります。
コールセンター機能を外注に出している企業の場合、物理的に距離が離れていることから、コミュニケーションが疎かになりやすいので要注意です。社内にコールセンターがある企業であれば、企画部署と一体化しているのが理想的です。仮にコールセンターを外注に出している企業でも、外注先とのコミュニケーションをしっかり取っている企業は売上アップに成功しています。毎週1回経営者自らコールセンターを訪問し、現場のオペレーターとのコミュニケーションを取っている方もいるほどです。外注と言ってもお客様はその会社の社員だと思って接するので、社内と同様にコミュニケーションは疎かにできません。
社内のコミュニケーションが上手な企業が取り組んでいること
社内コミュニケーションが上手な企業が具体的に取り組んでいることとしては、毎日の朝礼、クレドや経営計画書などで会社の考え方を明文化、社員同士のメールや電話に頼らない対面で打ち合わせをする習慣、情報を共有化するための社内の貼り紙、部署を超えたサークル活動などがあります。社内コミュニケーションを図るために、パソコン使用禁止時間を作っている企業もありますし、各社、様々な工夫をしながら社員全員が参加できるような取り組みを実施しています。単にコミュニケーションを取りましょうと言ってもかけ声だけで終わってしまいますので、会社として環境を作るのが有効です。
健康食品通販会社A社では他部署の取り組みについて皆が関心を持てるように社内報の作成をすることにいたしました。社内報では各部署の社員、その部署で取り組んでいる仕事、新人研修の様子、お客様とのエピソード等を面白おかしく紹介しています。社内報を継続して発行することで他部署の取り組みも多くの社員で共有することができるようになりました。最初は手探りで始めた取り組みでしたが、気が付けば3年以上継続しています。
健康食品通販会社B社では卓球台を購入し、全社員が1日15分卓球をするルールを作りました。卓球を通じて社内に笑い声が増えたのと一緒に遊ぶ時間が増えたので、社員同士のコミュニケーションが以前よりもスムーズになりました。また、仕事ではおとなしい社員が卓球中にはしゃいでいる姿を見て、仲間の普段と違う一面を見ることもできました。
化粧品通販会社C社では定期的にジョブローテーションを行うと共に部署のメンバー構成もシャッフルしています。各人が様々な仕事を経験するだけでなく、メンバー構成も変えることで多くの社員と交流ができ、コミュニケーションが深まるような仕組みになっています。
お客様と同じくらい従業員を大切にする
根底にある考え方は、お客様と同じくらい従業員を大切にするというものです。従業員を一人前の大人として扱い、その自主性を大切にしている企業では、皆、伸び伸びと楽しそうに働いており、自然とお客様とのコミュニケーションも円滑に取れるようになります。アメリカの人気食品スーパーであるトレーダージョーズの元社長ダグ・ラウチ氏は「社員と顧客は鳥の翼のようなもので、両方ないと空を飛べないのです。経営者が社員を大切にすれば、今度は社員がお客様を気遣うのです。」と述べています。
日々の業務が忙しいとどうしても目の前の仕事に集中してしまい、視野が狭くなりがちです。各自の裁量に任せているとどうしてもコミュニケーションは不足していきます。会社として社内のコミュニケーションが今より取れるような環境作りや仕組みを考えてみてください。
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