化粧品通販リピート客を増やす施策10選

「新規獲得で苦戦している」「売り上げが伸び悩んでいる」

化粧品通販会社の経営者、事業責任者とお会いすると多くの方から聞かれる言葉です。新規客となかなか出会えない昨今、リピート客育成の重要性は増すばかりです。

リピート客育成が強い会社は新規獲得のペースが鈍っても売上は緩やかな上昇か横ばいです。一方で、リピート客育成が弱い会社は新規獲得のペースが鈍ると急激に売上が下がっていきます。リピート客育成を課題に感じている会社は早急にリピート客育成の強化を図ることが大切です。

このコラムではリピート客を増やすための10施策とリピートの考え方を紹介します。

1. 定期コースへの引き上げ率をアップさせる

定期コースへの引き上げは、初回の商品注文時からスタートします。電話でもWEBでも初回注文の段階から定期コースに誘導するのが誘導率を高めるポイントです。まだ商品を1回も使ってないのに、定期コースに入るお客様はいないのではないかと感じられるかもしれませんが、現実には上手に案内を設計することで定期コースへの誘導を実現することができます。

電話受注の場合には、オペレーターが、その場で定期コースの案内をします。コールセンターにおけるトークスクリプトを上手に設計することとオペレーターが案内の場数を踏むことで誘導率を高めることができます。特にオペレーターが案内に慣れることによって誘導率は上げることができますので、空き時間にロープレをしたり、上手なオペレーターのトークを共有したりしながら経験を積んでいく必要があります。

お客様に受電時に案内をするには2つのパターンがあります。1つはお客様にとって損のないトークスクリプトを設計することです。例えば、定期コースに入ると割引になるが回数の縛りはないので1回試して気に入らなければ2回目は受け取らなくて良いという条件でトークを設計します。この場合、お客様にとっては割引になる上に、いつでも解約できるのでリスクのない提案になります。オペレーターもお客様にとってメリットのある提案なので、ストレス少なく案内をすることができます。これは定期の誘導率をとにかく高めたいときに設計するものです。

もう1つは商品の継続使用の重要性をしっかり伝えて時間をかけて案内するトークスクリプトを設計することです。お客様の現状についてヒアリングし、悩みや期待していることを把握します。その後、商品を継続して使う重要性をしっかり伝えます。ここまで会話が成立していればお得感を伝えると共にお客様の不安を解消し、定期の誘導につなげます。これは定期誘導率よりも定期入会後の継続率を高める施策で、そのため通話時間が長くなっても丁寧に対応しようという設計です。

WEBでの案内にも2パターンがあります。1つはサイト上で商品案内をする時点で、定期コースをお得なオファーとして提示します。例えば、定期コースであれば初回30%オフ+送料無料だが都度購入では定価+送料という設定にします。価格差によるお得感を出すことで定期コースへ誘導します。会社によってはこの見せ方により初回購入者の約80%のお客様が定期コースに入ります。

もう1つはショッピングカートに商品を入れた際に注文の最終確定前に定期コースの案内をします。例えば、お試し980円の商品を用意し、お試し品をカートに入れたお客様に定期コースの案内をします。お試し品を購入するつもりだったお客様でもこのタイミングで案内をすることで定期コースへ注文を変更する方が一定割合いますので有効な施策と言えます。

電話でもWEBでも初回注文時から定期コースの誘導に力を入れた方が最終的な定期コースの人数は増える傾向にあります。強引な誘導はする必要はありませんが、お客様がお得に感じるオファーを設計して案内していくことが重要です。

2. フォローDM・メールを活用する

DMはお客様に最もリーチできるが、費用がかかる。メールは費用が安価だが、開封されにくいとそれぞれにメリット、デメリットがあります。それぞれの良さを生かすために、DM、メール両方の活用が必要です。WEBからの注文のお客様にはメールしか送らない会社が多いですが、メールの開封率が下がり続ける昨今、DMでのフォローも併せて行うことをお勧めいたします。

DM、メールでは改めて商品の特徴、お客様の声やよくある質問等を伝えて、2回目購入を促します。購入から15日~30日を期限とした2回目購入特典を用意するとリピート移行率を上げることができます。

ある化粧品通販の会社はWEBを主体に新規客の獲得を行っていますが、2回目購入を促すフォローはDMとメールを併用しています。購入から3日後に冊子DM送付の案内メール、8日後に冊子DM、15日後にハガキDM、20日後にフォローメール、30日後にハガキDMとメール、45日後と60日後にフォローメールというようにDMとメールを織り交ぜてフォローを行っています。

DMを送るタイミングを変えるだけでも2回目移行率は変わってきます。ある化粧品通販の会社では3回フォローDMを送っているのですが、送るタイミングを10日ずつ後ろにずらしました。まだお客様が商品を十分に消費していない段階で送ってしまっているのではという仮説を立て、後ろにずらしたのですが、結果的には以前よりも2回目リピートする人数を増やすことができました。

DMは費用もかかりますので、小さな会社では出せる回数には限りがあります。どのタイミグで送るのが最も効果的かは仮説を立てながら探っていってください。30日間でメール4回、DM1回のような形でフォローしている会社もあります。予算を勘案しながら設計することが大切です。

メールは費用が掛からない分、内容や送付先を細分化するとリピート移行率が上がります。ある通販会社では当初1種類のフォローメールを送っていましたが、商品カテゴリー別に5種類に細分化して送るようにしたところフォローメール経由の売上が2倍になりました。この会社では初回購入から1ヶ月以内に4回、その後、毎月1回送るような設定にしています。

3. 初回同梱物を充実させる

2回目購入を促す際に重要度が高いのが初回購入者に商品と一緒に送る同梱物です。挨拶状、商品パンフレット、客様の声ツールといったものが最低限必要となります。その中でも初回購入者には商品についての情報を伝えることが重要なので、挨拶状、商品パンフレット、お客様の声ツール、商品カタログといったツールは特に重要性が高いです。

挨拶状は購入してくれたお客様に感謝の気持ちを伝えると共にお客様と商品を大切にしているという姿勢を表現することができます。商品パンフレット、お客様の声ツールは商品自体の良さを伝えるためのツールで、2回目以降のリピートを左右する非常に重要なツールです。

同梱しているツール類は初回購入時が一番読まれる確率が高いので、重要な情報を最初に伝えることが肝心で、情報を小出しにせず、悔いが残らないようにしてください。

4. 正しい使い方を伝える

リピート購入をしてもらうための出発点はお客様に推奨している量を消費してもらうことです。例えば、化粧品を販売している店舗では、使い方から使用量まで詳細にお客様にお伝えしていますが、通販の場合は上手に伝えられていない会社が多く見受けられます。
販売している会社側が推奨している量や使い方を正しく伝え、理解してもらわないとお客様は我流で使ってしまいますので消費量が少なくなってしまいます。

ある化粧品通販の会社では使い方ツールを洗面所で水に濡れても大丈夫なようにコーティング加工をする工夫をしています。
また、ある化粧品通販の会社では商品ごとの正しい使い方を3~4分の動画にしてホームページ上で公開しています。動画を使うことにより、紙のツールよりもわかりやすく伝えることができます。

正しい使い方についてはツールを同梱するだけでなく、ホームページも活用しながら伝えていってください。

5. 継続する重要性を伝える

お客様にリピート購入してもらうためには、定期的に継続を促すための情報発信をしっかり行っていかなくてはいけません。初回に同梱した商品パンフレットに記載してあるような内容も重要なものについては、時折、ポイントを抜粋してツールとして送るといった工夫も必要です。

お客様は商品を使用するにあたって様々な疑問や不安を感じます。情報発信がしっかりしている会社はお客様が感じている点を先回りしてツールやホームページを通じて発信しています。

多くのお客様が感じる疑問や不安は会社に寄せられる問い合わせ内容を日々、把握していれば理解することができます。お問い合わせが多いものについては、お客様にわかりやすく伝わっていないことの表れですので、ツール等でわかりやすく表現していくことが大切です。

ある化粧品通販の会社ではお客様に商品の使用を促すために「お悩み解決ブック」というツールを作成しました。お客様から良く来る問い合わせを3つピックアップしてツールでその回答を伝えるようにしました。このツールによりお客様からの問い合わせを減らすと共に多くのお客様に商品理解をより促すことに成功しました。

定期コースを解約するお客様で最も多い解約理由は「商品が余っている」です。なぜ商品が余るかというと商品を使う必要性や正しい使い方についてお客様の理解が弱いからです。理解が弱いと商品を使うのが面倒になり、徐々に使う頻度が減ってしまいます。商品を最初に購入した時の気持ちが維持できていないから、自然と消費量が減り、余るという状態に至るのです。

6. キャンペーンを実施する

キャンペーンの告知はDMやメールを活用して、様々なタイミングで告知されます。一般的によく使われるのは春夏秋冬の季節ごとのキャンペーン、創業祭、年末感謝祭や周年記念といったタイミングです。

ある化粧品通販の会社では年に2回創業祭、感謝祭としてキャンペーンDMを送っています。キャンペーンDMは毎年同じ時期に行うことでお客様の意識にも定着し、安定した売上を作ることができます。

ある化粧品通販の会社はWEB主体で商品の販売を行っていますが、年に1回周年記念のDMを送付しています。周年記念というと5年、10年と切りの良い時にDMを送るというイメージですが、毎年行っても反応を取ることができます。DMも単に1回送るだけでなく、購入回数が多いのに今回購入のないお客様には手書きの手紙を送ったり、対象を絞り込んで追いかけDMも送ったりと工夫をしながら反応率を上げる努力を行っています。お客様対応も丁寧でファンが多い会社という背景はありますが、毎年約40%前後の反応率があります。日頃の地道な取り組みがキャンペーンの反応につながっていると言えます。

ユニークなものとしては、自社で記念日を制定し、その記念日をきっかけにDMを送るという手法があります。これは他社と販促時期が重ならないようにすることと独自性を出すのが目的となっています。

7. 継続するとお得なサービスを用意する

お客様が特定のお店や会社から商品を買えば買うほどお得があるというのがリピート施策の基本となります。その観点から会員制度やポイント制度を活用することは大切な取り組みです。特に、定期コースや頒布会の設計をしづらい商品を販売している会社では必須の取り組みと言えます。

会員になると送料負担が減る、購入回数や金額によってポイントが貯まる、割引率が上がるというような特典を用意します。購入回数が増えるにつれて、他店で購入するよりもお得になっていくので、結果として継続するお客様が増えることになります。

ポイント制度についてはお金で還元する方法と景品、商品やオリジナルの非売品と交換する方法があります。商品数の多い会社ではお客様の購入金額も増えやすいのでお金での還元は有効ですが、商品数が少ない会社ではポイントもなかなか貯まらずお金での還元にお客様があまり魅力を感じない場合があるので、その場合は商品や非売品等との交換の方が有効です。

ある化粧品通販の会社ではポイントは自社製造のオリジナル非売品と交換できる仕組みになっています。お客様に人気の非売品があるのですが、販売してほしいという要望がどんなに来ても決して販売はしないことにしています。そのためお客様もその非売品欲しさにポイントをためるという動きにつながり、結果としてリピート促進にもつながっています。

また、ある化粧品通販会社では電話での受注業務を減らすためにWEBでの注文のお客様はポイントが多く貯まるような設計をしています。このように業務の効率化にもポイント制度を活用することもできます。

8. クロスセルを提案する

クロスセルとは初回購入とは違う他商品を購入してもらうことで客単価アップを目的に行います。多くの商品を用意して「どれか買ってください」ではなく、会社として優先的に購入してもらいたい商品を選んで提案することが大切です。

会社として2品目でお勧めする商品が決まっているとクロスセル率は高まります。ある化粧品通販の会社では商品A、商品Bの2商品をまずは購入してもらうという方針があります。そこで商品Aを購入した人には必ず商品Bを提案するよう社内が意思統一されています。お客様が電話で商品Aの定期コースを申し込んだら必ずその電話で商品Bの案内もするという徹底ぶりです。そして、商品Bを購入してないお客様には定期的にチラシとサンプルを送って商品購入を促します。

クロスセルの告知手段としては、商品発送時に同梱するチラシ、DMやメールを主に活用します。この際のポイントは商品を紹介する際には広告で新規客に訴求するようなクリエイティブにすることです。お客様は会社への信頼があるにしても、それだけでは購入理由にはなりません。お客様は必要性を感じないと商品を購入しないので、商品の魅力を余すことなく伝えることが重要です。実際に、ある健康食品通販の会社では新規獲得用の広告をそのままクロスセル用に既存客のDMにも活用して成果につなげています。クロスセルがうまくいかないという会社のチラシやDMを見ると商品案内ツールの表現が弱いという共通点があります。

お客様にクロスセルを促すタイミングですが、初回購入時から案内して構いません。購入回数が多く、お客様の中で会社への信頼も醸成されている状態での案内が理想ですが、多くのお客様に購入していただくという観点からは臆せず初回から案内していくことをお勧めします。

キャンペーンやクーポン券もクロスセルのきっかけになります。せっかく安くなるならこの機会に他の商品も試してみようというお客様の心理が背景にあります。また、食品通販は単価とリピート性が低いので、魅力的な商品を揃え、○円以上購入なら送料無料、○円以上購入で○○をプレゼントといった設定でクロスセルを促します。この際も、ただ商品の画像と価格を表示するだけでなく、会社として売りたい商品には商品特徴の説明や生産者の紹介などの情報を合わせて発信していくことが大切です。

クロスセルの案内は継続して案内を行っていくことが大切です。1~2回商品の案内をしてやめてしまう会社がありますが、お客様はどのタイミングで反応するのか会社側はわかりませんので継続して案内することが大切です。

クロスセルについては上手にできている会社は少なく課題に感じている会社が多くあります。案内をする商品、タイミング、見せ方、オファー等あらゆる要素を検討して自社なりの手法を確立してください。

9. 愛用者の声を数多く伝える

ツールの中でお客様に最も関心を持たれるのがお客様の声を集めたものです。お客様は商品を販売している会社よりも実際に使っているお客様の声の方にどうしても関心を持ちがちです。皆様も楽天やヤフーショッピングのようなモールで商品を選ぶ際や食べログのような飲食店サイトでお店を選ぶ際にレビューや点数を確認している方が多くいるはずです。

お客様の声の紹介については、届いたハガキや写真を紹介するという形式や実際にお客様のご自宅を訪問してインタビューしたものを紹介するという形式があります。その際にもただ紹介するだけでなく、社員からのメッセージも添えるとよりツールへの信頼度が増します。

ある化粧品通販の会社では、毎月お客様の声ツールを作成し、商品への同梱やDMへの同封をしてお客様の手元に届くようにしています。もう10年以上継続して取り組んでおり、多くのお客様に商品が支持されていることが伝わっています。

お客様の声ツールは、お客様の関心も高いので、ぜひ継続してツールを作成するようにしてください。そして、その声を集めるためにも必ず返信用のハガキを商品発送時に同梱してください。通販においてはお客様の声を集めることにコストを惜しんではいけません。

10. 休眠客にアプローチする

休眠客向けの販促は、主力商品の再購入、定期コースの再開促進、キャンペーン等の販促による売上を作るかかのいずれかが目的となります。

定期コースの再開を目的とする場合、購入回数が1回で休眠したお客様は再開の確率が低いため、まずは2回以上購入客を対象にアプローチしていきます。

最終購入日が直近でかつ累計購入回数が多い休眠客ほど再開の確率が高いので、例えば最終購入が1年以内で累計10回以上購入の休眠客のような条件でリストを抽出しアプローチしてみると良いでしょう。この属性での反応率を確認することで最終購入から1年以上でかつ10回未満の休眠客の反応率を推測することができます。

広告を出稿して新規客を定期に誘導するよりも費用がかからずに定期コースの再開を実現できれば広告出稿よりも効率良く定期客を増やすことができたことになりますので、休眠施策は有効であったと判断することができます。

累計購入金額の多い休眠客には手書きのお葉書の送付が有効です。ある化粧品通販の会社でも同じく過去の累計購入金額が多い休眠客に手書きのお葉書を送付したところ約12%のお客様が再購入しました。両社ともお葉書には特に割引等の特典はつけなかったのですが、お葉書によって思い出したお客様が再購入に至ったのです。

新規獲得の効率が悪くなる中、休眠客の再購入は非常に重要ですので、継続して取り組む施策として取り組んでください。

リピートの考え方

リピートについてみるべき数字

①リピート率

リピート率とは新規客のうち2回以上購入したお客様の割合のことを意味します。仮に新規客100人のうち、30人のお客様が2回以上購入していれば、継続率は30%になります。

リピート率=2回以上購入客÷新規客×100

②継続率

リピートしているお客様がその後、どのように継続しているのかを測定するのが、継続率です。

例えば、定期コースの場合は継続しての購入が大切なので、ある月に入った新規客を母数として、3回、6回、12回のように回数ごとに継続率を算出していきます。

3回継続率=3回以上購入客÷新規客×100
6回継続率=6回以上購入客÷新規客×100
12回継続率=12回以上購入客÷新規客×100

例えば、2022年1月に定期コースに1000人のお客様が入ったとして、3回継続しているお客様が700人いた場合、3回継続率は700人÷1000×100=70%となります。

この継続率の数字を時系列で毎月確認していくことで、自社の商品・サービス・接客・リピート施策がお客様に満足されているかを確認する1つの指標になります。

継続率は商品特性、販売単価によって変わってきますので、一概に○%ならOKという判断はできません。あくまでも自社の過去の数字と比較して改善されているかどうかを評価するようにしてください。

③客単価

客単価は1人のお客様が1回当たり何円商品を購入したかを示す指標です。客単価は主力品以外の商品をあわせて購入してもらう「クロスセル」、お客様が購入を検討している商品のより上位版の商品を購入してもらう「アップセル」を行うことで増加します。企業としては商品の提案力、魅力を伝える表現力が求められます。

④顧客回転数

顧客回転数は1人のお客様が1年間で平均して何回商品を購入していたのかを示す指標です。お客様の商品への信頼、丁寧な対応や接客によるお客様の満足度、定期コース・頒布会・ポイント制度・ランク制度といった仕組みなどが相まって顧客回転数は増えていきます。

⑤LTV

LTVは1人のお客様が1年間で何円商品を購入したかを示す指標です。客単価と顧客回転数が上がっていくと、LTVも上がっていきます。企業としては、商品力、提案力、対応力といった様々な要素が関係しますので、総合力が表されることになります。新規顧客獲得コスト(CPO)が上昇する中、LTVの最大化は通販ビジネスにおいては最重要課題になってきています。




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