お客様の声は集計よりも発見を重視する
日々、会社に届くお客様の声ハガキやアンケートを実施することでお客様の生の声を収集することができます。お客様の声を社内で共有するために、集計して整理することは全体の傾向を掴む上では必要なことです。ただ、お客様の持つ要望や不満を把握する際には、集計だけではなく、1つ1つの声の中から取り上げるべきものを発見することが重要になります。
特に新しい施策を考えたり、サービスを検討する際には集計から出てくる傾向だけでは、考えるヒントは出てこないので、1つずつ丁寧に見ていくことが必要となります。
お客様の声やレビューを読むことが出発点
お客様の声やレビューを読む時間を作り、1つずつ読み込んでいくことが出発点です。その際には、漫然と読むのではなく、商品について、サービスについてなど、テーマを決めて読んでいくことで注目すべき声を発見することができます。
健康食品通販会社A社では、広告に出てもらうお客様を探すために、お客様の声を日々読むようにしています。その中で、自分達が考えている広告案に合いそうな声や熱量の高い声を見つけ、取材対象としてピックアップしています。
化粧品通販会社B社ではお客様の声をテキストマイニングを行うことで、どのような声が寄せられているのか発見しやすくしています。テキストマイニングとは通常の文章からなるデータを単語や文節で区切り、それらの出現の頻度や相関関係などを解析することで、答えは出てきませんが、仮説を立てる際の参考にすることができます。
少数意見から生まれた大ヒット商品
大ヒット商品「ネジザウルス」(頭がつぶれているネジ、錆びているネジを、簡単に掴んで外してしまう工具)はお客様の少数意見をもとに改良し、大ヒットした商品の典型例です。
製造元の株式会社エンジニアでは、「ネジザウルス」リニューアルにあたり、お客様から会社に届いていた1000通のご愛用者カード(お客様声ハガキ)を参考にすることにしました。
集計してみると、1位:グリップを握りやすくしてほしい(120通)、2位:先端を細くしてほしい(50通)、3位:バネをつけてほしい(20通)、4位:カッターをつけてほしい(15通)、5位:トラスネジも外せるようにしてほしい(7通)という順番でした。
1位から4位の内容は問題なく改良できるという認識を持ったのですが、注目したのが5位の「トラスネジも外せるようにしてほしい」でした。トラスネジとはネジ頭の部分が低いネジのことで、従来モデルでは外しにくいのが現実でした。試行錯誤の結果、リニューアルにあたりトラスネジも外しやすい品質に改良したところ、爆発的な売上アップにつながりました。少数意見に着目したことで、大ヒット商品へと育てることができました。
目的を意識してお客様に接する
お客様と直接会ってインタビューすることも施策に通じるヒントが数多く得られる場です。その際には、漫然と話を聞くのではなく、目的を明確にして臨むことが大切です。
健康食品通販会社C社ではお客様の持つ人生のストーリーをコンテンツとして大切にしています。どのような人生を歩み、その中で何がきっかけで商品と出会ったのか?出会った後の人生は?と深堀していきます。結果として出来上がる体験談はお客様が主人公となる読み応えのある内容になっています。
健康食品通販会社D社ではお客様が何に悩み、商品を使うことでどのように解決したのか、そして解決した結果、生活がどうなったのかを具体的に取材をしています。その内容は広告や同梱物などの制作に活かされています。
C社、D社共にインタビューを通じてお客様が持つストーリー、生活の変化を聞くことでお客様1人1人の実情を知ることができています。
集計により傾向を掴むだけでなく、1人1人のお客様の声から「発見」を意識することで、多くのヒントを得ることができます。ぜひ多くの声の中から施策につながる声と出会えることを期待しております。
※「ネジザウルス」については、「ネジザウルスの逆襲」(日本実業出版社)を参考に記載させていただきました。
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