一番商品に経営資源を集中することで効率的に売上アップが実現する
一番売りたい商品、売れる商品をまずは徹底して売る。この大原則は全ての業種に当てはまるもので、通販業界でも常に意識しておく必要があります。一番商品の販売に注力することで経営資源を集中することができると共に、会社としての売りも明確になります。
よく、事業のリスクヘッジとして複数の商品を同時に柱にしようと広告投資を分散させる会社がありますが、どうしても事業拡大のスピードは緩やかになってしまいます。
食品通販会社A社では経営者の好奇心が旺盛で、様々な商品を見つけてきては広告やDMで案内をしていました。目新しさがあるのは良いのですが、社員の商品理解が浅いままの販売が続き、結果としてお客様に上手に案内できませんでした。このような状態ではなかなか主力品が育たず、売上も安定しません。まずは1品、主力となる商品を徹底して伸ばすことが重要です。 一番商品に集中した方が売る方も商品やその周辺の知識を多く深く知ることができますし、お客様にもお店のコンセプトが伝わります。
ワイン通販会社B社では、スペインワインに特化し商品を販売しています。産地を絞ることで、深い情報発信ができることや販売者自身も商品に詳しくなれるのがポイントです。商品ページやメールマガジンでも詳細な産地や生産者の情報を紹介しています。お客様も店主の商品選定への信頼がベースにあり、商品に満足したお客様のリピート購入につながっています。
品揃えについても、売上アップを目的として闇雲に品数を増やすのはお勧めいたしません。しっかりとした考え方を持ち、販売者として自信を持てる商品を揃えることが大切です。そうしないと、在庫リスクを抱え、結果として利益が減ることにもつながります。また、不思議と売れない商品ほど熱心なお客様がついてしまう場合があり、終売の際に苦労することになります。
卸売り主体のメーカーが通販を始める場合に売上アップのために商品数を安易に増やす傾向があります。卸売りの場合は新商品を開発して問屋に卸せば売上が立ちますが、通販の場合は広告等の販促を行う必要があり単に品数を増やしただけでは売上は上がりません。卸売り発想を通販ビジネスには持ち込まず、まずはしっかり主力品を育てる意識を持つことが大切です。
健康食品通販会社C社では一時期商品数が700以上ありました。売上重視で健康食品だけでなく雑貨品等、様々なジャンルの商品を仕入れていたのですが、在庫ロスや利益率の低さから収益を圧迫していました。そこで販売を主力品である健康食品に集中し、商品数も70近くまで減らしました。結果として、減らした直後は売上に大きな変化はなく、収益面では大きく改善しました。そしてその後、広告宣伝を一番商品に集中できたことで、売上を2年で4倍以上に増やすことができました。勇気を持って売れない商品をなくし、売れる商品に集中することの大切さを示した事例と言えます。
また、売れていない商品の売上を伸ばすことで、事業全体の売上も伸びるのではと考え、売れていない商品の販売に力を注ぐようなケースもよく目にします。しかしながら、売れていない商品を販売することは、かなりの労力を必要とする割には事業にインパクトを与えることが出来る程、売上アップにはつながりません。そこで、最も重要な事は、自社で一番売れている商品、一番伸びている商品に経営資源を集中させ、新規獲得、リピート顧客育成に取り組んで行くことです。
化粧品通販企業D社は、毎月発行するDMの中に、ほとんど売れていない商品を掲載することで、その商品が売れ、事業全体の売上アップに役立つと考えました。結果としては、通常月よりもその商品の販売個数は伸びましたが、事業全体に影響を与えられる程の売上にはつながりませんでした。逆に売れていない商品にDMのスペースを割いたことで、DM自体の売上が通常月より下がってしまいました。
化粧品通販会社E社は、5品からなる商品ラインとトライアル品を作り、通販事業をスタートさせました。事業スタート時点では、どの商品をメインに据えて新規顧客の獲得をしていくかを決めず、さらに、ターゲットの絞り込みもしないまま、さまざまな広告媒体への出稿を繰り返し行っていました。1度広告出稿して反応が良くないという理由だけで、商品や出稿媒体を変えてみても、広告の勝ちパターンづくりは出来ず、期待するような成果を出すことにはつながりません。そこで、5つの商品の中から1番リピート率の高い商品を新規獲得商品として絞り込みを行いました。さらにターゲットの絞り込みを行う目的で広告媒体の選定を行いました。その結果、分散されていた予算と労力を1つの商品、媒体に集中することが出来、スムーズな広告テストが可能となりました。
一方で、大手食品メーカーF社が健康食品通販事業に新規参入した際には、当初から、商品を1品に絞り、広告予算、労力の全てをそこに費やしました。本業は商社、小売への卸がメインなので商品数を増やして売上を上げる販売スタイルなのですが、事業責任者は単品リピート通販のビジネスモデルを十分に理解し、商品数を絞り、そこに集中する方針を定めました。その結果、短期間に通販事業を軌道に乗せることに成功することができました。通販年商が5億円を超えた頃から少しずつ関連商品の販売を行い、現在では10品目以上の商品を販売しています。
自社で一番売れている商品、一番売上が伸びている商品に絞り、労力や予算を集中させることがとても重要です。一番売れている商品の売上が伸びると、自然とその周辺商品の売上も伸びて行き、結果、事業全体の売上が伸びて行きます。自社の一番商品を見つけ、その商品の売上をさらに伸ばして行くことを徹底的に取り組んでいってください。
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