理想と現実の間で考える
コンサルティングの仕事を行う時に気を付けていることに正論だけを言わないということがあります。「お客様を大切にしよう」「商品の価値をわかりやすく伝えよう」等、それだけを言うのは簡単ですが、現状をもとに具体的にどう実施するかまでを考えないと言われた側が苦しくなるだけになります。
人手が足りない、経験が足りない、時間が足りないと現場には、やりたくてもできない事情があります。その事情も考慮しながら施策を考えないと精神的に苦しい上に、施策は実施されないという状態に陥ってしまいます。
月に2,000人の来店客が来るお店を例にとります。もし、このお店の店長が毎月2,000枚の心のこもったお手紙を手書きで送ったらきっとこのお店は繁盛することでしょう。しかし、現実に店長にはその時間がありませんので、宛名は印刷しよう、DMに手書きのコメントを数行添えよう、スタッフにも手伝ってもらおう、毎月ではなく2ヶ月に1回にしようと理想を現実にあわせて運用していくことになります。
理想を追い求めて施策がとん挫するよりも現実に即した施策が継続できる方が結果として効果にはつながっていくのです。
ある健康食品通販の会社にいるSさんは以前はお電話でお話ししたお客様に直筆の手紙を送っていました。ただ毎回時間も手間もかかるので、なかなか継続できないでいました。ある時から手書きをやめ、ワードで文章を作成して送るようにしたところ継続して送れるようになりました。内容もお客様と会話した内容を盛り込んでいるので、お客様も喜んでくださっているとのことです。
ある化粧品通販の会社では売上規模が小さいうちは毎月送るDMの宛名は全て手書きにしていました。想いを大切にということで取り組んでいたのですが、規模が大きくなるにつれて対応が難しくなってきたので、あるタイミングから宛名印字に変更しました。宛名は印字になりましたが、同梱するツールで想いが伝わるようにと様々なツールを作成していきました。
一方で現実に甘んじていて理想を追わないと社会の変化に遅れをとってしまいます。
ある会社では経営者の方が8年以上前から本業の売上減を予測しており、会社の未来を考え、新規事業として通販ビジネスに取り 組んでいました。最初の数年は赤字でしたが、本業の余力があるうちにチャレンジしたことで、今となっては本業と並ぶ事業の柱にまで成長させることができました。
またある健康食品通販の会社では、ネット広告の運用をパートナー企業に依頼していましたが、なかなか成果につながっていませんでした。そこで外部に頼る現状から自社社員の運用に切り替えました。当初は試行錯誤も多かったのですが、事業にかける想いが勝ったのか、ある時から着実な成果につながっていきました。
外部に任せている現実から脱却しなければ成果にもつながらなかったことでしょう。
理想だけを追っていても施策は前に進みませんが、一方で現実に甘んじていても理想を求める動きができません。施策を考える上では理想と現実の間でうまくバランスを取って取り組んでいってください。
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