■スピードと手数が事業の未来を決める
以前、ある通販会社の経営者から「様子を見るという言葉が嫌いだ」というお話を聞いたことがあります。様子を見ると言っても時間を浪費するだけで、すぐに施策実行の可否を決めることが重要だという趣旨でした。
打ち合わせで出た施策案に対し、あまり乗り気でないと、「様子を見ます」「後日、検討します」という言葉が出ることが多いですが、振り返るとそのまま実行に至らないものが多いように感じています。
スピードと手数の多さが中小企業の強み
「ヒト・モノ・カネ」いわゆる経営資源の比較だと中小企業は大手企業に太刀打ちできませんが、一方で中小企業の強みを活かせるのがスピードと手数の多さです。
大手企業が稟議をまわしている間、中小企業は経営者の決断があれば、決めた施策をすぐに実行できます。その施策もスピーディーに数多く実行することで、短期間に成功体験、失敗体験を積むことができます。
食品通販会社A社は、広告やDMのクリエイティブを全て内製化しています。長年の経験から自社である程度、デザインの型を作り上げており、少人数で数多くのクリエイティブを短期間で制作しています。
化粧品通販会社B社は、経営者の社員に依頼する仕事の締め切りが短いのが特長です。一般的には2~3日かかるような仕事も数時間で仕上げるよう指示が飛びます。傍から見ると無茶な指示にも見えるのですが、その環境が当たり前になると社員もそのスピード感に対応できているので驚かされます。
保険をかけて締め切りを設定していてはどうしても時間がかかります。「なる早(なるべく早く)」設定で、どんどん取り組むことが大切です。
完璧な出来上がりよりもスピードを優先させる
「拙速は巧遅に勝る」という言葉があります。できがよくて遅いよりも、できが悪くても早いほうがいいということわざで、物事はすばやく実行した方が良いという意味です。
完璧を求めるとどうしても時間がかかりますし、それでいて出来上がりが必ずしも完璧になるわけではありません。
ある通販会社は半年ほど前から社員の意識が変わり、以前よりもスピーディーに施策に取り組むようになりました。その結果、多くの施策を実行することで経験を積み、施策の質も上げることができました。思い悩むよりも実行することが成長につながったと言えます。
業務内容から時間をかけるべきものなのか、スピード優先すべきものかを事前に判断したうえで、スピードと手数の多さを意識して、事業発展に向けて取り組んでみてはいかがでしょうか?
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